児童ポルノ保護法賛成/反対論の両方に見える気持ち悪さ

児童ポルノの所持を規制すれば性犯罪は減る」
児童ポルノの所持を規制すれば性犯罪は増える」
という二つの言説があります。
これはおそらく、どちらも正しい。


ポルノは性欲を促進させる上に
その対象を卑下することを肯定しますが、
肥大してしまった欲求を
ただ禁止するだけでは意味がありません。


多くの人が誤解していますが、
性犯罪の根底にあるのは性欲ではありません。
性犯罪の根底にあるのは支配欲であり、
支配欲の根底にあるのは貧しさです。


経済的に貧しい者や心の貧しい者が
自分よりも弱い者を求め、
自分を強者であると確認するために
弱い者を抑圧し、蹂躙するのです。


また、こちらも多くの誤解がありますが、
日本で性犯罪件数が少ない理由は
ポルノが禁止されていないからなどではありません。


理由のひとつは、この国が総中流社会
言われてきたように比較的豊かで、
多くの人に守らなくては
生活もままならない地位があったこと。


もうひとつの理由は、
性被害を含めた顔見知り間の暴力が
ムラ社会の中で隠蔽されてきたことや、
性犯罪が親告罪であることで
非常に表面化されにくいことにあります。


だから一概に日本が少ないとは断言できないし
ポルノがあるから性犯罪が起きない
という証拠もないのです。

児童ポルノ保護法とは

正しくは
google:児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
という名称のとおり、
児童の保護に関する法律です。


だからこの法律が改悪されると思ったときは、
「これは被害者を保護するための法律」
だということを胸においてください。


そしてできれば、
「ポルノを規制したら性犯罪が増加するぞ」
という脅迫のメッセージを
発信することは止めてください。


それは被害者/予備軍に恐怖を与えるのと同時に、
性犯罪の責任の所在を
「性欲」「嗜好」「異常者」「男の性(さが)」
へと向けたい人たちにとって
非常に都合がいいのです。


性犯罪は、愛のかたちではありません。
それは強者による弱者への暴力であり、虐待です。
そこには必ず、権力の構造があります。


表現の自由を守りたいだけの人も
非常に多いと思います。
ですが「犯罪の増加」を楯にする行為は
規制推進派と同じ手法であり
方向性の違いでしかないことを
忘れないでください。