××に萌えちゃいました!に見られる無視と見下し
不謹慎だけどあの事件に萌えちゃいました! - Hatena::Group::onlooker::2ch-Dojin
388 名前: 神冷め Mail: sage 投稿日: 2008/09/01(月) 03:40:47 ID: K5PN320tO
●前提
以前、民の親友がある凶悪事件に巻き込まれた。
親友は、怪我の治療や後遺症のため、様々な面で想像もつかないような苦労をしている。
●本題
神が神殿に新作小説をうpされた。
民の親友を傷つけた、あの事件を題材にしたものだった。
真摯に扱ってくれるなら…と思って読み進めたが、
同人サイトにそんなことを期待するほうが間違いだった。
小説内での受けのポジションは、民の親友。
受けは、萌え要素「美しく儚い患者」として入院していた。
いろいろとスイーツ小説のような行動を取るのは、まだ見過ごせる。
でも、
「どうせ自分は障害者。社会のゴミ。攻めの人生の汚点。体だって傷だらけで醜い」
という趣旨の、受けの発言だけは絶対に許せない。
親友に対する侮辱そのものだ。
親友は一般人だから本人の目にはふれないだろうが、
こんなものをネットに放置したくない。
神には当該小説を下げるよう要求した。
しかし、
「知人の方が被害者だったんですか!不謹慎だけどあの事件に萌えちゃいました!
よかったら詳しい話を聞かせてください☆」(ボカシ
民より一回りも年上で、日頃から「社会の仕組み」「大人のマナー」について
熱弁している人の発言がこれだ。
あなたは神じゃない。ゲスだよ。
うわああああああごめんなさいごめんなさいごめんなさい
このブログでまったく同じことをやってました。
「そのままの君がすき」の理想を裏返すとフォビアが出てくる
そもそもBL自体がこういう要素を内包している訳で。
「どうせ自分は同性の男で攻とは釣りあわない」という受の卑下に対して、「コンプレックスを抱えているところも含めて、君自身がすきなんだ」と攻が否定する。そうすることで受自身のすべてを肯定する、という基本でできている物語がBLややおい。
リアルの同性愛指向を持つ男性からは嫌われる傾向にあるらしいけど(本当がどうかは知らない)、たぶん「そのままの君がすき」なだけだったら嫌われることも少なかったと思います。
問題はきっと(一部の人たちだと思うけど)本当の男性同性愛の世界へずかずかと侵略してしまったこと。今もしている人が少なくないこと。
勝手に男性同性愛に妄想を抱えて、その妄想を当事者に押し付けることのどれだけ失礼なことか。
萌えを裏返すと暴力になる
転載した話に出てくる民の人は当事者ではないけれど、神の人は近しい民の人に対して「萌え」という妄想を武器に侵略を行った。
これは神の人が民の人に意地悪をしたかったのではなくて、神の人は本気で「どうせ自分は障害者。社会のゴミ。攻めの人生の汚点。体だって傷だらけで醜い」という趣旨の考えを受(≠被害者の方)はしているだろうと本気で思い込んでいたのだと思います*1。
その妄想を疑うことなく、更にその妄想を押し付けることで傷つく人がいるということを少しも想像できなかったのは、やはり「萌え」というものが自己完結しているからだと思いました。
「自分がその人の立場だったら」を考えない、のではなく、そもそも想像ができない。だって被害者の方の心情も周囲の人の気持ちも、この神の人にとっては興味のないことだったのだから。
神の人が興味を持っていたのは、事件に対する自分の妄想だけ。だから「どうせ自分は障害者」と悲観する受を攻に愛させる妄想で頭がいっぱいになり、現実に苦しんでいる人の気持ちを考える、なんてことにすら気付くことができなかった。
だから結果的に、神の人は被害を受けた方の関係者から怒りを買った。知らなかったでは済まされないことをやってのけたのだ。
神の人がやったことはセクハラ、つまり性暴力になる。そして、その暴力を促進したのは無知であり。無知であることで満足していたのは、神の人のひとりよがりな「萌え」への欲望だった。
「萌え」を演じるお人形でなくなると、嫌悪の対象になる
もちろん、こういったひとりよがりの「萌え」の暴力に晒されているのは同性愛指向を持つ男性ばかりではないと思います。
たとえば同性愛嗜好を持つ女性は百合を嗜好する男性から「萌え」を押し付けられることがあるし*2、今の女オタクブーム(腐女子ブーム)によって男性から不躾な言動を受けた女性ヲタ(腐かどうかに関係なく)も少なくないはず*3。
そしてタチの悪いことに、こういった妄想の押し付けをする人は、相手が望んだ通りの振る舞いをしないと逆上し出すのです。
前にこんな事を書いたけど
男ヲタの「俺の嫁」が許されて、女ヲタの「私だけの王子様」が蔑まれる理由
男の人が俺の嫁だって言っているのは原作のキャラクターそのものじゃなくて、
それぞれの人が「俺の人形」を持っていて(車やバイクでもいいかも)、その人形について各々が語っている感じがする。
交際が発覚した時にアイドルが叩かれるときも、自分の所有物だって意識が強いからか「なんで持ち主である俺の思い通りにしないんだ!」ってニュアンスで叩かれている気がします。
2ちゃんねるで処女信仰が強かったり、腐女子や主婦や実際にいるかどうかもわからないスイーツ(笑)や独身女性やギャル系が嫌われたりしているのも、やっぱり「自分のお人形じゃない意志をもった人間」であることを直視させられてしまうことに恐怖があるからではないかと思います*4。
やはり、広くても仲間同士で完結するはずのものだった「萌え」を外部に押し付けてしまったこと。それが確執のはじまりだったのではないでしょうか。
「萌え」を仲間同士で完結させている一例
そしてそんな彼ら・・・なのかどうかはわかりませんが。今、男性ヲタの方々は女装男子にはまっています。
綾崎ハーマイオニーがこんなに可愛いわけは何? - notable or ordinary
綾崎ハヤテは、見た目も仕草も、如何にも男らしくたくましいというより、どちらかというと女っぽい柔らかさを持っています。他人に気を遣えて優しい性格だし、大事な人の為には何でも出来る強さを持ってるし、炊事洗濯掃除と家事は完璧、つうか何をやらせても人並み以上にこなすし、それなのに大事なところがちょっと抜けてたり不幸な目に会いやすかったりと非常に守ってあげたい属性かついじめたい属性を持っていたり、二パーとした笑顔が可愛かったり。
まさしく「萌えを演じるお人形」。萌えるのも男性、演じるのも男性という素晴らしい循環サイクルです。
↓よく考えたらぜんぜん違ったので改めてまた書き直します
**私の「女装男子に萌えちゃいました!」に見られる無視と見下し
と、他人事のように書いてきましたが。ここまでの話は、私が女装する男性に対して抱いていた妄想を自省するためのものでした。
私が女装する男性に対して抱いていたのは、ざっと思いつく限りは
- 悲劇のヒロインであること
- 乙女であること
- 性的指向が男性だけに向いていること
- 女装も男性的な嗜好ではないこと
です。ほぼ最初に挙げた神の人が抱いていた妄想とそっくりです。
これをなりきりやら(これも問題ですが)二次元の範疇だけで満足していたならよかったのですが、
ブログを通じて「同じ趣味」の方々と交流していくうちに、実際に趣味にしている男の人たちの女装嗜好というのが、あくまで男性でありたいからこそするもの*5だということに気付き始めます。
「私の思い描いていた妄想と違う」まずそのことで頭が混乱し、そして男の人たちの嗜好に見えた「漫画や妄想の世界へ逃げこみたい」「かわいい自分になって肯定されたい」といった願望は、私自身のコンプレックスを大きく刺激しました*6。
最近まで気付きませんでしたが、もちろん最初から私のひとりよがりな妄想に沿ってはいなかったんです。
それに気付かなかった私は、自分の妄想と相反する現実の女装男子への反発心を徐々に強めていったんだと思います。
時間がないので結論がかけませんが、最初の2ちゃんねるに何かを感じて。
こうやって改めて自分の考えを整理することで、かなり楽になりました。
特に女装男子萌えというのはあまり理解できていなかった(する気もなかった)くせに嫌悪対象にしていたジャンルなので、「自分の嗜好とは異なるもの」だとはっきりわかり、モヤモヤがすっきりしました。
この先、このブログを含めてどう折り合いをつけていくかはまだ自分でもわかりませんが、今みたいにビクビクしながらではなく、前のようにワクワクしながら楽しめたらいいなと思います。
*1:的を射ていないとは言いませんが、独り善がりの妄想であることは確かです
*2:「百合」文化におけるレズビアンの位置 - All About
*3:非ヲタ女性からの蔑視については、ブームとはあまり関係ないと思われるので割愛します
*4: 自分を好きになってくれる人を好きになるんだ!という禅問答の矛盾。(11日加筆)
*5:ふたなりレズや女装男子ものは、男性版やおいなのかもしれない(21日加筆)
*6:自分を認めないものを攻撃する、ということ - アルフォンス・ハイデリヒになれなかった私 - 恋するおとうとはせつなくて お兄ちゃんを想うとすぐ大好きな先生にナイショでおねだりしちゃうの♥