性別受モノだと思って期待していたら正統派やおいだった『姫君の輿入れ』(和泉桂)
- 作者: 和泉桂,佐々成美
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2005/12/22
- メディア: 新書
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紹介項目
- 攻:一人称「私」、受の父親の政敵にあたる。顔立ちもよく女性に人気があり、狭霧に出会うまでは様様な女性と遊んでいた。過去に配偶者と死別している。
- 受:十五歳、一人称「私」、生まれた頃より女として、その存在を隠されつづけてきた。
- 注意事項:二次性徴orz
- えっち:一割程度?ただし物語が長いので(241ページの二段組)短いわけではないと思います。
- 視点:主に受視点の3人称
性別受度
-
- ☆一人称は「私」
- ☆性格は控えめだが、自分を取り戻すにつれ能動的になる(ただし男っぽくなるわけではない)
- ☆「〜だろ」「〜なのか」みたいな男言葉を日常的に使わない。口調もおだやか
- ☆身体は華奢、ただし成長期であるため二次性徴の描写が入る(読み飛ばすことも可能、イラストカットの体格などは初期のまま)
- ☆周りから姫&女の子扱いされている
- ☆そういった扱いを自然だと思っているわけではないが、受であることが嫌なわけではない
- ☆女装あり(本人は乗り気ではない)
- ☆小さいころから女として育てられている
- ★女体化なし
- ★妊娠・出産なし
舞台は平安の京。とある理由で女の子として幽閉状態で育てられてきた左大臣の末息子・狭霧(さぎり・受)が、源実親(みなもとのさねちか・攻)と出会うことで徐々に「自分」を築いていくおはなしでした。
IS(3) (KC KISS)に似ているかも。
この築いていく「自分」が、例えば「女」であればおとこの娘モノ・性別受モノなのですけれど。この作品の狭霧が築いていくのは「男」としての自分・・・ではなくて、「女」であることに縛られない自分なんですよね。
amazonさんのレビューで
少年として好きなことをし、自分の願ったように生きるようになっていく狭霧を見て、本来のやおいとは、こうして巣立っていく少年に、抑圧された少女としての自分を重ねて見るものだったのではないかと、そのように夢想しました。
巣立っていく狭霧に、巣から出られない者から、エールを送ります。
とあります。作品を読んだあとだと、少女として幼少時代を過ごしたわけではない私でも、ものすごく納得できました。
amazonであれだけ賛同者がいるのにも納得です。
それと、こういう少女という性からの解放がテーマになっているせいか、狭霧(受)が時間とともに男性へと二次性徴していく描写もところどころにあり。
また狭霧が性別を移行するにあたっては、親兄弟や近しい人たちとの確執が発生したりと、身に覚えのあるふゆいちごはひどく苦い思いをしながら読み進めました(泣)
改めて「その人」が振り分けられる性別というものは社会的なものであって、他人からの目によってもつくられているんだよねーっていうことを再確認。
というわけで、けっこうグサグサときた作品でしたが、佐々成美さんのイラストがすばらしすぎて撃沈。色々と脳内変換できました。
攻の実親様は超絶にかっこいいし、受の狭霧ちゃんも犯罪されてしまう級のかわいさだし。
特に後半、狭霧cが下男の服を纏って実親様をおで迎えするカットは思わずにやけてしまうほどヤバかったです。