自分を好きになってくれる人を好きになるんだ!という禅問答の矛盾。(11日加筆)
僕を好きになってくれる人が好き、運命を待つ非モテ - 或るオタクの遠吠え-Over the Rainbow-
ちょうど今こどものじかん 5 (アクションコミックス)というロリコン犯罪漫画に見せかけた心傷系漫画の感想を書いていて、
ちょっと考えを整理するのによさそうなので取り上げてみます(すいません・・・)。
もし仮に「近づくなオーラ」を張っていない女性がいたとしても好きになってはいけない。なぜなら非モテは「今までオーラを張られてきたようなダメな自分がその女性と釣り合うわけがない」と信じきっているからである。「自分には性的魅力がまったくない」「彼女が自分を好きになるはずがない」。だとすれば非モテにとって好きになる事が許されている女性とは、「ダメな自分に好意を抱いてくれている女性」でしかありえない。ダメな部分も含めて承認してくれる女性でなくてないけないのである。(それでも「彼女を幸せに出来る能力がない」のだから好きになる資格はない、というのが真性非モテなのだがここでは割愛。サークラ危険アンテナ問題は除外)
筆者による太字部分に、矛盾を感じますか?
すきになってはいけない?という自己卑下に隠された矛盾
「好きになってはいけない」
「好きになる事が許されている女性」
一見自己卑下にも読み取れてしまうひとことですが、この言葉が持つ意味はかなり複雑です。
なぜ好きになってはいけないのか?
なぜ「すきになってはいけない」のでしょうか?
そもそも、誰かをすきになることは、その人の心の内の問題なわけで。
別にすきになること自体は、誰からも干渉されることではないと思うんです。
そう思いながらトラックバックされている別の方のエントリを読んでみたら
たぶんこの方は「すきになること」に見返りを求めているんだな、ということがわかりました。
「近づくなオーラ」を出しているのは女性?非モテ男性? - シロクマの屑籠(汎適所属)
「駄目な僕も含めて認めて欲しい」というニュアンスのなかには、「俺があなたに“見返り”を提供しなくても、俺を好いて承認してくれ」という、一方向的な期待が含意されている。
つまり「すきになってはいけない」の意味は、
「自分が見返りを期待できないからすきになってはいけない」
だと思います。
でもこれでも変ですよね?
「すきになりたくない」なら意味は通りますが、なぜ禁止表現なのでしょうか?
そう考えてみたら、根本的なところで意味を取り違えていたことがわかりました。
誰が誰のことを好きになってはいけないのか?
もう一度本文より抜粋。
もし仮に「近づくなオーラ」を張っていない女性がいたとしても好きになってはいけない。なぜなら非モテは「今までオーラを張られてきたようなダメな自分がその女性と釣り合うわけがない」と信じきっているからである。「自分には性的魅力がまったくない」「彼女が自分を好きになるはずがない」。だとすれば非モテにとって好きになる事が許されている女性とは、「ダメな自分に好意を抱いてくれている女性」でしかありえない。ダメな部分も含めて承認してくれる女性でなくてないけないのである。
変更した太字部分。ここも一見自己卑下に読めるけれど、ちゃんと文脈を追っていくと
ここでの「ダメな自分」というのは、「他人(女)からダメというレッテルを貼られてきた自分」だということがわかります。
ちょっと嫌味な言い方になるかもしれませんが、つまりこれって
「本当は自分に価値があるのに、それがわからない女が自分をダメだと評価する」
ってことですよね。
これをちょっと別の角度から書き直してみると
「本当の自分の価値がわからない女は、自分のことをすき=評価する側になってはいけない」
になります。
つまり一見「自分には恋愛する資格なんてないんだ」と卑下しているように見えながらも、
実はあのエントリの文章は、他人(女性)の恋愛感情に対する非難だったんです。
自己卑下の形を取っているのは、おそらく本当は自分に自信がないから。
だから卑屈なニュアンスで暗に主張する語りになったんだと思います。
はてなブックマークで否定的なコメントがいくつか出ているのも、
そういった主さんの暗喩を感じ取っているからだと思います。
2008年08月04日 b:id:jituzon:20080804
非モテ にもいろんな人がいるから一概には言えない問題。外見を重視する非モテの場合「好きになって」もらっても相手の容姿によっては拒絶するだろうし、やっぱり自分に都合のよい夢のような出会いを求めてるとしか。
2008年08月05日 b:id:oya03:20080805
非モテ, gender 受動的になるのは構わないけど、それなら能動的に動く(それ故男性を選別し、欲望を表現する)女性を非難しないでね。
2008年08月06日 b:id:baisemoi_bullet
「好きになってくれる人」も、破天荒ヒロインの需要も、脱・性役割ではあるだろうけど、「ダメな自分も肯定してほしい」願望とはまた別物では。/「ダメな自分に」≠「ダメな自分も」
ただ、この他人(女性)の恋愛感情に対する非難も、
本当は自分自身の尊厳を守るためにあえてせざるを得ないのであろう
(他に自身を肯定する方法を考えられないのであろう)ことを考えると、
自分を守りたいと思って発言したことが他者への攻撃となって、
それが他者から非難となって返って来る、という負の連鎖になってしまっているのは
かなり皮肉な気もします。
「ニワトリタマゴ、どっちが先かはわからない」の本当の意味
ついでに気になった部分にもうちょっとだけ言及。
よく「閉じこもってるからキモがられるのだ」「ニワトリタマゴ、どっちが先かはわからない」「近づくなオーラなんて勘違い。被害妄想」みたいな事を言われるが、これは絶対に嘘である。
まず先に「近づくなオーラ」が確実にあったのだ。よくあるではないか。昔、明るかったヤツと数年ぶりに会ったら暗くなってたみたいな話。話によれば苛められたとか避けられたとか。「暗いから苛められるんだよ」みたいな話は嘘だと思う。
この主張に関しては私はいろんなケースがあるし、
そもそもどちらか片方だけではありえないと思っています。
(もちろん、その人の前で「キモい」っていうのは失礼だと思います。)
ただ、「先に「近づくなオーラ」が確実にあった」として、
過去のこと今でもずっと引きずっているのはどうなんだろう、とは思います。
憎むな、というわけではないです。
不条理なことは許してはいけないと思います。
ただ、過去に「キモい」と言ってきた人を非難しつづけるのは仕方がないけれど
それを今も周りの人にあてはめ続けるのは、苦しくないですか?と思いました。
一応最後になりますが、エントリ主さんに恋愛しろとは言ってないつもりです。
正直どうでもいいですから。*1な話、漫画の感想の下地としてためしに扱ってみただけなので、
あまり気になさらないでください。
*1:読み返してみたらものすごく嫌味な言い方になってしまっているので訂正します、申し訳ありませんでした