どうして「黒い」わたしを否定するの?『こどものじかん』(私屋カヲル)レビュー
- 作者: 私屋カヲル
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/07/11
- メディア: コミック
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幼いころに母親を亡くし、親戚の青年・レイジと共に暮らす小学3年生の九重りん(ここのえ・りん)。
学級委員を務め、明るいクラスのムードメーカーでもある彼女だが、
友だちを登校拒否にした前担任を精神的に追い詰め、辞職へと追い込んだ過去がある。
彼女のクラスの後継担任となった新任教師の青木大介(あおき・だいすけ)は
彼女と触れ合っていくうちに、りんの心にある陰の部分と、
彼女の後見人であるレイジによる異常な妄愛を垣間見ることになる。
幼い彼女のうなじに残る、鬱血の痕。
年齢に相応しくない、性的にませた言動。
男性好みするような、性的なファッション。
そんな彼女が時折見せる、不安やさみしさを漂わせる弱々しいすがた。
彼女の保護者であるはずのレイジは、
亡き恋人であり、りんの母親でもある秋(あき)の面影を、りんに求め続けていたのだ。
そして、りん自身も・・・
彼女を「担任教師」として大切に想う青木だが、父親でもない彼にりんを救う手立てはない。
そんな折、りんの父親が彼女に会いたいと、レイジにコンタクトしてきて――!?
亡き恋人の忘れ形見にかつての恋人の姿を追い求める青年と、
そんな彼に母のことをずっとすきでいてほしいと望み続ける少女。
このおはなしは、大人になれないまま取り残されてしまった彼らが
いまだ抜け出せずにいる「こどものじかん」が描かれた物語です。