声に出して読みたい「西の魔女が死んだ」

「最近、怖い顔をしている」と言われて、ちょっと悩みごとがあって・・・と相談したところ「西の魔女が死んだ /梨木香歩」という本を貸してもらいました。


登校拒否になってしまったためにおばあちゃんの住む田舎で療養生活を送る主人公の中学生・まいのお話です。まだ全部は読んでいないのですが、ちょっと安心させられたおばあちゃんの言葉があったのでメモ代わりに抜粋します。


おばあちゃんの鶏が獣に惨殺されてしまった痕跡を見てしまったまい。
鶏を殺したのがどんな獣なのかがわからず、そして不意にその獣のすがたを想像してしまい、さらに怯えるまいに対して、おばあちゃんが語りかけるシーンです。

まいは、おばあちゃんがおやすみを言う前に、急いで話しかけた。今日の、あのいつも大事に思っていた場所での気味悪い出来事についてだった。まいが話し終わると、おばあちゃんは、
「なんでもありませんよ。まいは今日だいぶ動揺していましたからね。そんなことは気にしないことです。無視するんです」
「どうして?」
「だって、その声は、まいが心から聞きたいと願ったものではなかったのでしょう。そういう一見不思議な体験を後生大事にすると、次から次へそういうものに振り回されることになりますよ。けれども不必要に怖がることはありません。それも反応していることになりますからね、ただこうべを高く挙げて」
と言って、おばあちゃんはおとがいをあげた。
「無視するんです。上等の魔女は外からの刺激には決して動揺しません」
そんなこと、絶対無理だわ、と、まいは思った。


きっとおばあちゃんの言葉は、もっと現実的なものに対しても向けられているんだろうな、と思ったらほっとしました。
ちょっと行き詰まっているあなたにおすすめです。


西の魔女が死んだ /梨木香歩

西の魔女が死んだ /梨木香歩