「異性愛の押し付けはいかんぞ！環境破壊的な！」異性愛と同性愛を取り巻くオタク事情について色々と思いを馳せてみる
1.「同性愛はいかんぞ！非生産的な！」と平気で書き込むヘテロのセクシュアリティ（笑）
「同性愛はいかんぞ！ 非生産的な！」というギャグがまかり通るなら
同性愛はいかんぞ！非生産的な！
という柴田亜美のギャグをいまだに面白いと思って（たぶん）書き込んでいる人がいてげんなり。
で、思ったんですが、こんなもんがギャグとしてまかり通るなら、というギャグだってあっていいのに、ノンケは決してそう言わない*1のはなぜなんでしょう。なんで？ どうして？
これについていたブクマがちょっと気になったので。
2008年10月22日 mike_n セクシュアリティ, 差別 異性愛者が同性愛絡みのギャグで（不妊症や無精子症に比べて）無批判に笑えるのは、同性愛者が同じ社会に実在する人間だという実感が薄い/無いからだと思います。必ずしも積極的悪意の表われとは限らない
はてブの100字コメントなので、先方の意図は正確には掴めないのですが、
「同性愛者が同じ社会に実在する人間だという実感が薄い/無いから」
という部分については、むしろ逆だと思うんです。
同性愛傾向を自覚しているからこその「同性愛はいかんぞ！」
まず、こういった同性愛蔑視が不妊症や無性師匠と完全に分断されるのは、
同性愛は「異性愛」という「自然な生理現象」から分化した性癖（嗜好）の一種で、
治せるor異性愛と両立できると信じられているからだと思います。
むかし大人の間で流行っていたゲーム脳のような感じでしょうか。
実態は掴めなくても、こっちはちゃんとコントロールできるんだ、
という信仰で安心感を得ているような。
ただ、今回の「同性愛はいかんぞ！非生産的な！」のギャグがゲーム脳と異なるのは、
ゲーム脳があくまでテレビゲームや携帯を使う人を能動的に否定したり
排除したりする意図をもって扱われていた*1のに対し、
「同性愛はいかんぞ！非生産的な！」の方は、そのギャグを共有することによって、
その対象自体を排除せずに受け入れている点にあります。
同性愛を排除しようとしているのではなく、
ギャグを使ってでも受け入れようとしている。または実際に受け入れている。
これはおそらく、そういったギャグを使う人の多くが、
自分の中にある同性愛傾向をポジティブに自覚しているからだと思います。
「自分も、同性愛者なのかもしれない」と。
同性愛傾向がある異性愛主義者≠同性愛指向だけを持つ人
問題なのは、そう言った人たちの多くが同性愛指向だけを持つ人ではなく、
あくまで同性愛傾向があると自覚している異性愛主義者であることを自覚していない点にあると思います。
だからきっと彼らは、こう信じているはずです。
同性愛は「異性愛:自然な欲求」から分化した性癖（嗜好）の一種で、
自分を含めて誰もが治せるor異性愛と両立できるものである、と。
ですから単純に「同性愛者が同じ社会に実在する人間だという実感が薄い」というよりは
もっと性質の悪い、
同性愛を嗜好としてしか理解し得ない異性愛主義者による、
同性愛者カテゴリーへの侵略と見るほうが適当なのではないかと思います。
2.「俺はホモじゃない。お前が好きなんだ。」は同性愛フォビアなのか
ついでに。
俺はホモじゃない。お前が好きなんだ。
BL王道の「俺はホモじゃない。お前が好きなんだ。」っていう台詞、
それって根底にゲイに対する差別があるように聞こえてしまうのは自分だけだろうか。
自分が同性愛者だからそう感じてしまうのかもしれないが（著者はそこまで考えて描いてないだろうし）、
どうしても↑みたいな台詞が出てくると萎えて面白かったのに急につまんなくなる。
あー心狭い自分がいやだ…。
これもむしろ逆で、ゲイに対して差別をしているわけではなく
ゲイに対する差別を逆手に取った表現だと思うんです。
上記のセリフを自分流に書くとこんな感じ。
「世間から（ホモだと）差別されようが、俺は（男の）お前を愛し続けると誓う！」
文才がないので伝わっているかどうかはわかりませんが。
要するに何が言いたいかというと、
これは同性愛フォビアに対するフォビア、*2
もしくは異性愛規範に対する反抗なのではないかと。
その異性愛主義者へ向かっていたはずの反抗が、
同性愛者に届いてしまっていることが混乱の原因なのではないかなと思います。
（そもそも異性愛主義者は好んで見ないでしょうし）
で、その根本にある原因は「同性愛はいかんぞ！非生産的な！」と同じように
同性愛を志向としてしか理解し得ない異性愛者による、
同性愛者カテゴリーへの侵略だからではないかと思います。
あー、いいかげん、そろそろ「異性愛の押し付けはいかんぞ！環境破壊的な！」
というギャグが流行りませんかね。世界規模で。
