わたしがモンスターになったわけ

わたしのあらゆる
言葉はいつも
誰かの場所から
あらわれる


わたしの言葉は
わたしではなく
だれかの立場で
語られる


だれかが語った
そのときはじめて
みにくいわたしは
きえてなくなる


こうしてだれかに
ことばをゆだねた
わたしがわたしに
いじわるをする


あなたはだあれ
あなたはだあれ
あなたのほんとの
なまえはなあに


こうしてわたしは
なきさけぶのだ
じぶんはじぶんで
わたしじゃないよと


ぶきみなかおした
みじめなわたしは
きょうも誰かの
ふりしてかたる


つよい自分こそ
じぶん自身で
ほかのだれにも
負けないのだと


だからだれにも
わたしのことばの
ほんとうのいみは
つたわらない


なみだはとげに
さけびはどくに
のばしたみぎては
はものにかわる


傷つけだまらせ
ねじふせて
それでもこわくて
ねむれもしない


だからこりずに
わたしは騙る
おびえる自分を
みすてるために